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コラム:西村吉郎

第10回

派遣にまつわるトラブルでもっとも多いのは中途解約

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人材派遣事業を行っている法人のうち、有力企業654社が加盟している社団法人日本人材派遣協会では、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5都市に相談センターを設置して、派遣スタッフと派遣会社、派遣スタッフを受け入れている派遣先企業の3者からの相談および苦情に対応しています。今回は、この相談センターに寄せられた相談のうち、派遣スタッフからの相談内容の内訳を見ていくことにしましょう。参照データは、同協会がホームページで公開している「労働者派遣事業アドバイザー相談状況(過年度)」です。

派遣スタッフからの相談内容項目別構成比(人材派遣協会相談センター)2005年度 単位:%
相談項目 構成比
中途解約 16.6
労働契約 14.2
労働・社会保険 10.8
中途退社 8.7
有給休暇 6.7
賃金 6.5
登録・面接 6.2
業務内容 3.7
勤務時間・残業 3.3
紹介予定派遣 2.8
担当者の対応 2.5
人間関係 2.4
個人情報 2.2
セクシャル・ハラスメント 1.5
その他 11.9

このデータによると、2005年度1年間に派遣スタッフから寄せられた相談件数は2088件でした。件数そのものは、派遣スタッフの増加に比例して増えていますが、派遣労働者総数から見た相談件数の割合は、0.07〜0.09%の範囲で、ほぼ横ばいで推移しています。

相談項目別に見ると、もっとも多い相談は、「中途解約」に関する問題です。これは、契約期間中に派遣契約が派遣先から一方的に解約されたというもので、派遣先と派遣スタッフの間で生じる問題です。次に多いのは「労働契約」に関するもの。派遣スタッフの場合、雇用契約は派遣会社との間で結びますので、こちらは派遣スタッフと派遣会社の間に生じる問題ということになります。

この上位2件については、2000年以降の推移を見る限り、ずっと相談件数全体に占める割合、順位ともほぼ変化はありません。3位以下については、年度によって順位が変動していますが、過去の3位を見ると「賃金」、「中途退社」、「登録・面接」などについても、トラブルの種になる割合が高いといえそうです。

相談センターでは、まず、派遣スタッフから電話による相談を受け付け、どんな問題を相談したいのか、アドバイザーが丁寧に聞き出します。その上で、相談内容から明らかに派遣先や派遣会社に非があると判断される場合には、相談者(派遣スタッフ)からの要請に応じて、相談センターから会社の責任者に連絡をとり、問題を是正するよう指導、助言を行います。ほとんどの問題は、この方法で解決が図られることになります。

筆者が以前、協会事務局に伺ったところでは、派遣スタッフが法律に関して知識が乏しかったり、誤った解釈をしていることが原因で、問題がこじれているケースが少なくないとのことです。派遣スタッフは、労働基準法や労働者派遣法その他、様々な法律によって保護されているわけですが、少なくとも派遣法に関しては、事前にしっかりとした知識を身につけておくことが、余計なトラブルに巻き込まれないためにも大事なことといえそうです。加えて、派遣スタッフの社会人としての基本的なマナーから逸脱した行為が、トラブルのそもそもの原因となっていることも多いようですので、注意しましょう。


このシリーズは、オールアバウトや雑誌などで人材・転職・派遣をテーマとする記事制作に関わって20年のライター、西村吉郎が担当しています。