最終回
与えられた仕事を責任を持って処理できるようになるには
厚生労働省が2003年に実施した「就業形態の多様化に関する総合実態踏査」には、派遣スタッフを受け入れる企業側がどんなところを問題としているかを尋ねた項目があります。今回は、シリーズの総集編として、このデータを参考にしながら、派遣スタッフとして派遣先企業でどう対応すればいいのかを見ていくことにしましょう。比較対象として、派遣と同様に女性労働者が多いパートタイム労働者の数値を合わせて掲載しました。
| 問題点 | 派遣労働者 | パートタイム労働者 |
| 良質な人材の確保 | 46.3 | 45.7 |
| 仕事に対する責任感 | 35.6 | 47.7 |
| 業務処理能力 | 27.3 | 23.9 |
| 仕事に対する向上意欲 | 26.3 | 36.2 |
| 正社員との職務分担 | 25.9 | 19.1 |
| 正社員との人間関係 | 18.9 | 14.0 |
| 時間外労働への対応 | 18.3 | 23.2 |
| チームワーク | 14.7 | 18.6 |
| 定着性 | --- | 36.8 |
| その他 | 4.1 | 4.6 |
まず、派遣スタッフ活用上の問題点として挙げられているのは、「良質な人材の確保」です。これは、派遣先が派遣スタッフを選ぶことができない法律上の制限があって、派遣会社から派遣されるスタッフを受け入れざるをえないという側面がありますので、致し方のないところ。そもそも、何をもって「良質」とするかがはわかりませんので、ここでは省くことにしましょう。
さて、それを除く最大の派遣先の懸念は、「仕事に対する責任感」です。仕事を途中のままで帰るとか休むなどというのは無責任の極みですが、自分に与えられた仕事をただこなすというだけでは責任を果たしたことにはなりません。会社は組織で動いていて、一つの仕事の仕上がりを待って次の作業に進むべく控えている人がいるわけですから、一つの仕事が終了したら、しかるべき人に終了の報告をして、さらに新たな仕事の指示を受ける。こうやって、周囲と連携しながら自分の責務として与えられた仕事をテキパキと片づけていくことが求められています。
2位、3位には「業務処理能力」「仕事に対する意欲向上」と続きますが、与えられた仕事をミスなく、与えられた時間内に処理するために、もし、自分の能力が不足していると思えるようなら、派遣会社のスキルアップ講習を受講する、仕事に関連した資格の勉強をするなど、自らスキルアップに努めることも、仕事に対する意欲向上のうちということになるでしょう。
こうしてみると、結局は、派遣スタッフ自身のやる気の問題ということができます。派遣スタッフが担う仕事の多くは定型的で、ごく専門的な一部の業務を除いて、それほど高度なノウハウが求められることはありません。だからといって、働く意欲、モラールをなくしていては責任を果たすことはできません。早晩、契約の満期を契機としてその職場とはサヨナラすることになり、派遣会社からも新しい仕事の紹介を受けられないということになり兼ねません。
米国の心理学者、A.H.マズローは、「人のやる気の源は欲だ」、といっています。「安定した生活を送りたい」、「もっといいお給料がほしい」、「友だちがほしい」、「人から認められたい」、「人にほめられたい」、「自分がやりたい仕事ができるようになりたい」など、何らかの欲求が行動の動機付けになるというのです。
派遣スタッフとして自分は何を目指すのか、しっかりとした欲(目的)を持つこと。その欲(目的)に一歩でも近づくための努力を続けていけば、スキルも身に付き、周囲の評価も上がります。周囲から評価されるようになれば、自信を持って仕事に当たれるようになり、信頼も寄せられるようになるでしょう。そうなれば、職場でのチームワークや人間関係などの問題にも上手に対処できるようになるはずです。

