第9回
医療保険を上手に使おう
だれでも、病気やケガに対する不安は持っているでしょう。生命保険文化センター「生活保障に関する調査」によると、その不安の内容のトップは「長期の入院で医療費がかさむ」ことだとか。実に60.2パーセントもの人が、医療費について不安を持っているという結果が出ています。
私たちの医療費は、公的な医療保険制度によってある程度カバーされるようになっています。現在、70歳未満であれば、医療費の自己負担は3割。例えば、医療費が10,000円かかったとすると、自己負担は3,000円ということになります。しかし、公的な制度があるとはいっても、入院が長引くなどで予想外にお金がかかってしまうケースもあるでしょう。
家計に支障をきたすような医療費の負担には、医療保険で備えるという方法があります。今回は「医療保険」についてのお話です。
医療保険選びのポイント
医療保険選びのポイントは、次の2つです。
自分に必要な保険は
・定期タイプか終身タイプか
・入院1日あたりの必要保障額はいくらか
まずは、この2つに着目しながら自分に必要な保険を把握しましょう。
ポイントのおさえ方
・定期タイプか終身タイプか
医療保険の加入の仕方には2通りあります。ひとつは、保障期間を定めた「定期タイプ」に加入する方法。もうひとつは、一生涯の保障に備える「終身タイプ」に加入する方法です。定期タイプへの加入は、「必要な期間の保障を合理的に準備できる」というメリットがある反面、「更新型の場合は更新時に保険料がアップする、一定年齢を超えると更新できない」などのデメリットがあります。終身タイプへの加入は、「保障が一生続くから安心、保険料も基本的に一定」などのメリットがありますが、「当初の保険料が定期タイプに比べて割高」などのデメリットがあります。「自分が医療保険で備えるべき期間はどこなのか」をよく検討しましょう。
・入院1日あたりの必要保障額はいくらか
また、生命保険文化センター「直近の入院時の自己負担費用」についての調査を見ると、入院1日あたりの自己負担の平均額は14,700円となっています。入院1日あたりの保障額を考える際の参考になるでしょう(但し、食事代や差額ベッド代等を含み、高額療養費制度※1による払戻し前の金額)。
ポイントをおさえた後は、1回の入院あたりの支払限度日数や保険期間を通じての通算限度日数を確認しましょう。一般的に「保険料が安いな」と思うものには、1回の入院あたりの支払限度日数が30日や60日といった短いものが多くなっています。「長期入院に対する医療費」に備えたいのであれば、120日、365日などといった1回の入院あたりの入院限度日数が長いタイプを検討するといいでしょう。めったにない不安に備えるのが「保険」という考え方をすれば、理にかなっています。一般には長期入院の可能性が低い分、限度日数の延長に対する割増保険料は比較的わずかとなっているようです。
また、最近の傾向として「入院1日目から保険が支払われます」といったものが目に付きますが、短期の入院に備えたいというのならともかく、自己負担をしきれない部分に備えるために保険に入ると割り切るのならば、ここはあまり重要視しなくてもいいかもしれません。他にも、医療保険には、女性特有の病気への保障をあつくしたもの、ガンに備えるものなどがあります。自分にとって本当に必要な保険を上手に選びたいものです。
保険はタダじゃない
保険に加入していれば安心ですが、当然のことながらそれなりの対価が必要になります。加入に迷ったときは、「この保険に入らないと、イザというときに困るかどうか?」をシビアに考えてみるといいでしょう。医療保険に加入しておいたほうがいい人は、いざというときに困る人、それからコストを度外視しても安心が欲しいと思う人でしょう。
※1 治療が長引くなどで、医療費の自己負担費用が高額となった場合、一定の金額を超えた部分が払い戻される制度
久谷 真理子 プロフィール
株式会社フリーダムリンク取締役。
ライフプラン・資産運用などの相談業務に携わる。そのほかに、執筆やセミナー講師などとしても活躍中。NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会2006年「くらしとお金のFP相談室」担当相談員。
<保有資格>
CFP(R)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー。ホームページ http://www.fdom.co.jp/
