第1回
自分の短所をしっかり認識することから始めよう
自分のことは自分がいちばん知っている。人はえてしてそう思いがちですが、実は、自分自身を知ることは大変に難しいことです。自分の背中は自分で見ることはできないように、自分について知っているつもりのことは、たいていの場合断片的で、偏りがあります。どうしても主観が混じってしまい、正しく分析、評価することができないからです。とくに、自分の短所となると、うすうす感じてはいながらもはっきり意識することが怖くて、普段は考えないようにしておきたくなるものです。
しかし、自分には何が欠けているのか、どんな点が問題なのかをしっかりと認識しなくては、その部分の修復作業にとりかかることはできません。まずは、自分はどういう人間なのかを整理することから始める必要があります。ただ、自分自身をあまりに否定的にとらえてしまうと気持ちが落ち着かなくなってしまいます。「良いところも悪いところもあわせ持った平凡な一人の人間」くらいに考えて、気楽に自己分析を進めましょう。
では、自分には何が欠けているのか、どうやれば的確に把握できるのでしょうか。自己分析の手法はさまざまですが、もっとも手軽なのは、自分は周囲からどう評価されているかを整理していくことです。両親、親友、学生時代の同級生、先生、職場での上司や同僚、派遣スタッフとして登録したときのコーディネーター、その他、これまでにつきあいのあった周囲の人たちが、自分に対してどんな言動をとったのか、思い出して整理します。並行して、過去の仕事で失敗したこと、うまくいったことも合わせて整理していきましょう。
いかがでしょうか。母親からしょっちゅう「あなたはいつも散らかしっぱなしなんだから」と言われているとか、友人から「約束の時間は守ってよね」と言われた、上司から「もう少し段取りよくできないかね」と言われた、大事な用件を忘れて仕事をフイにしかけたことがあるなどなど、嫌な思い出とともに、自分に欠けているところが浮かび上がってきたのではありませんか。
自分の短所は生来の性格によるもの、いまさら直せそうにはない。そう思っている人もいるかもしれません。しかし、心理学の本によると、人の性格を決定づける要素のうち、変えようとしても変えられないのは遺伝とも関係の深い気質だけで、たいていの性格は努力することによって直せるのだそうです。また、自分の性格における短所・長所についての自覚は、他人の評価を根拠にしている場合がほとんどですから、他人に対する自分の評価を変えていくことで、その評価が自分に跳ね返って、自信を持てるようになることも多いのです。
自分の短所が整理できたら、あとはそれを直す努力をすればいいだけのこと。次回から、具体的な対策を考えていくことにしましょう。

