第5回
自分自身のドキュメントを残そう
どんな会社であれ、部署ごとに業務をスムーズに遂行していくための共有のノウハウが存在します。このノウハウはどこかよそから完成品として持ち込まれたものではなく、それぞれの部署で働く社員たちの経験や実績を長年積み重ねる中からできあがっている場合がほとんどです。また、組織が存続する限り日々新たな成功事例や失敗事例が生まれてきますので、ノウハウは常に更新され洗練されていくことになります。
「お客様相談窓口」とか「カスタマーセンター」を設置して顧客から直接の情報を受け付け、これを開発部門や製造部門、販売部門などにフィードバックしてよりよい製品づくり、サービス提供に結びつけるといった形で、全社的なノウハウの向上を図っている会社も少なくありません。
こうした部署ごと、あるいは全社的に日々ノウハウレベルを上げていくために、個々の社員の行動を記録したり、顧客からの問い合わせや苦情の内容を整理して改善につなげていくような仕組みは『ドキュメント管理』と呼ばれます。会社組織の優劣の差は、このドキュメント管理がしっかりできているかどうかで決まるともいわれています。
さて、今回のテーマは、このドキュメント管理の考え方を個人にも応用してみてはどうだろうということです。個人として一日に経験することは、業務に関連することはもちろん業務外のことでもたくさんあります。それらをドキュメント化し、そこから次につなげていける部分を抽出していくわけです。
たとえば、作成文書の中の語句の用法の誤りを指摘されたとか、普段は決して愛想のよくない○○さんが自分の発したちょっとした一言で機嫌良く対応してくれただとか、ささいなことでも記録して残すようにします。業務日報のように他人に読ませるための記録ではありませんから、同僚に対して嫌味に感じたことなどでもかまいません。
1カ月ほど続けたところで読み直してみると、「一つ賢くなった」ところとか「ちょっとまずかったかも」と思える部分がいくつか見つかるはずです。新たに得た知識やスキル、課題が抽出できれば、それこそが次に生かせるノウハウとなります。
日々の流れのなかで学ぶこと、気付くことはたくさんありますが、それを頭の中にしまいこんでいたのでは2、3日もすると忘れてしまうことになりがちです。せっかく得た新しいノウハウですから、文書として残し整理することでしっかりと自分のものにしたいものです。

